年金繰り上げがオススメできない最大の理由_サムネイル

こんにちは。バチです。
今回は年金の繰り上げがオススメできない最大の理由を説明します。

まずは結論から。
年金を繰り上げすると、障害年金を請求できなくなります。

繰り上げとは何か、障害年金とは何か。
そして障害年金を請求できなくなると何が困るのか。
詳しく説明します。

※繰り上げしても障害年金を請求できる場合もありますが、レアケースのため割愛します

動画版:年金の繰り上げがオススメできない最大の理由【障害年金請求不可】

年金の繰り上げとは

まず、年金の繰り上げとはどんな制度かを説明します。

本来、年金は65歳から受け取るものですが、
「もっと早めに受け取りたい…」
そんな人のために、金額を減らして早めに受け取るための制度です。
いちばん早い場合、で60歳から年金を受給することができます。

ただし、受け取るのが早ければ早いほど、年金は減額となります。
1か月繰り上げるごとに0.5%、最速の60歳まで繰り上げた場合、
0.5% × 60か月 = 30%の減額となります。

国民年金(老齢基礎年金)は40年間納めきった場合781,700円ですが、5年間繰り上げると
781,700 × 0.7 = 547,190円 となります。

これを少ないと見るか多いと見るかは人によりますが、私はこの繰り上げは絶対にオススメしません。
たった1つの最大の理由をお話します。

繰り上げはオススメできない最大の理由

繰り上げ請求がオススメできない最大の理由、それは
「障害年金を請求できなくなる」
ことです。
※できる場合もありますが、レアケース

以前の私もそうなのですが、そもそもこの「障害年金」を知らない方も多いのではないでしょうか。
障害年金について説明します。

障害年金とは

障害年金とは、事故や病気で障害を負ったとき、請求できる年金です。
1級~3級の等級があり、それにより金額が変わります。

ちなみに、この等級は障害者手帳とはまったく別のものです。
障害者手帳で3級だからといって、障害年金も3級とは限りません。

障害年金には厚生年金(障害厚生年金)と国民年金(障害基礎年金)がありますが、金額については障害基礎年金のみ説明します。
障害厚生年金は、それまでの加入状況により金額が異なるためです。
障害基礎年金は、納付状況で金額は変わりません。
支給される年金額は以下の通りです。

  • 1級 977,125円
  • 2級 781,700円

そして、障害年金を請求できるのは65歳までです。
(例外となるレアケースがあります)

後から等級が重くなった場合、障害年金額の改定を請求することができます。
(一部例外あり)

障害等級の目安

  • 1級:他人の助けが無ければ日常生活不可、活動範囲がベッド周辺
  • 2級:他人の助けが無ければ日常生活が難しい、家の中を歩いたり洗濯程度ならできる
  • 3級:働くことが非常に難しい

参考:日本年金機構 障害認定基準

あくまで目安ですので、実際に何級となるかの判断は各々の状況によります。

なぜ障害年金を請求できないのか

ではなぜ、繰り上げ請求をすると障害年金を請求できなくなるのでしょうか。
繰り上げ請求をすると、「65歳になった」とみなされます。
そして障害年金を請求できるのは65歳までです。

つまり、仮に繰り上げ請求したとき62歳だったとしても、その時点で「65歳になった」とみなされてしまいます。
そのため、障害年金は請求できなくなってしまうのです。
さらに、繰り上げ請求はあとから取り消しできません。

障害年金は金額的に得なのか

ここで、障害年金は金額的に得なのかどうか、を見てみましょう。
国民年金の老齢基礎年金、障害基礎年金の比較です。
厚生年金は加入状況により細かく金額が異なるため、割愛します。

老齢基礎年金は40年間すべて納付しきった場合、781,700円。
障害基礎年金は

  • 1級 977,125円
  • 2級 781,700円

となります。

まず1つ目のポイントは、「障害基礎年金は2級でも40年間納め切った老齢基礎年金と同額」ということです。
老齢基礎年金は、未納や免除の期間があればあるほど、金額は少なくなります。
それに対し、障害基礎年金は過去の実績関係なく、金額は固定です。

ただし障害年金を請求するために必要な、納付の条件はあります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。

さらに繰り上げした場合、老齢基礎年金は減額されてしまいます。
仮に最速の60歳で繰り上げ請求した場合、
781,700 × 0.7 = 547,190円
40年間納めきった老齢基礎年金額(=障害基礎年金2級の額)より、約24万円少ないですね。

これを多いと見るか少ないと見るかは考え方によりますが、一番大事なのは
「そのとき必要な年金額をもらえるかどうか」
だと思っています。

繰り上げし、障害年金を請求できないと困ること

繰り上げ請求し、障害年金を請求できないと困るのは、万一のケガや病気があったときです。
脅すわけではないのですが、65歳までになんらかの病気にかかったりして、身体が不自由になるのは珍しい事ではありません。

そんなとき、間違いなく出ていくお金は増えます。
治療費、薬代、移動のタクシー代、ヘルパーさんの依頼費用、お弁当の宅配料金、通販の送料等…。

しかしもらえる年金額は少ないまま。
生活設計が大きく狂うことになります。

医療費については高額療養費といった制度もありますが、減らない支出もあります。
タクシー代や買い物代などですね。
お弁当の宅配サービスなどを頼むこともあるでしょう。

年金に限らず、保険はよくギャンブルに例えられます。
たまたま病気にかかってお金がおりれば(金額的には)勝ち。
繰り上げ請求もある意味その類とも言えます。

しかし繰り上げ請求は、明らかに「部の悪い賭け」と言わざるを得ません。
なぜなら、

  • 年齢を重ねれば重ねるほど必要になるお金は増える
  • 病気やケガを負う確率も高くなる
  • しかし繰り上げは取り消しできない

これらのことがわかりきっているからです。
そして、何より「本来なら請求できた障害年金」を請求できなくなってしまいます。

トータルで損得を見るのはNG

トータルの金額なら繰り上げ請求はお得…という意見もあるかもしれません。
しかし、仮に60歳で繰り上げ請求した場合、およそ76歳以降も年金を受け取る場合はトータルでも損になります。

2021年現在、男性でも平均寿命は81歳です。
今後も基本的には伸びていくでしょう。
76歳というのは、とても現実的なラインです。

さらに年金額について大事なのは、「そのとき必要な金額を受け取れるか」です。
早めに多くの年金額を貰っても、何かしら使ってしまうかもしれません。
そのとき、後悔しても繰り上げは取り消すことができません。

むしろ、繰り下げがオススメなぐらいです。

年金の繰り下げとは

参考までに、繰り下げ制度についても説明しておきます。
繰り下げ制度とは、年金を受給開始する時期を遅らせ、年金額を増やす制度です。

1か月繰り下げると0.7%、5年間で42%年金額が増えます。
たとえば40年間納付しきった老齢基礎年金の場合、70歳まで繰り下げると

781,700円 × 1.42 = 1110014円
かなりの増額となることがわかります。

繰り返しになりますが、大事なのは「その時必要な金額を受け取れるかどうか」です。
年齢を重ねるほどに必要なお金は多くなることを考えると、こちらのほうが生活の実情に見合った制度だと思います。

さらに繰り下げは途中取り消しし、遡って年金を受け取ることも可能です。
たとえば年金を繰り下げしていたものの、68歳でお金が必要になった。
そんな場合、繰り下げを取り消し、過去3年分の本来の年金額を一括で受け取ることもできます。

年金事務所で繰り上げの説明はあるけれど

繰り上げ請求をすると、障害年金が請求できなくなる。
では年金事務所で説明はないのかというと、もちろんあります。

このデメリットは非常に大きく重要なため、年金事務所でも必ず説明があります。
しかし、年金制度は非常に複雑、書類も書くところが多いです。。

繰り上げ請求をする側の人は、「いいから早く請求させてくれ」と思うものです。
説明してもらったからといって、理解しきれているとは限りません。

仮に理解できていたとしても、「自分は大丈夫大丈夫!」なんて思ってしまう人も多いでしょう。

周りに繰り上げ希望の人が居たら「待った」

周りに繰り上げ請求を希望している人がいたら、まずは「待った」をかけましょう。
そして障害年金が請求できなくなること、取り消しはできない事、年金額はそのままということを説明してあげましょう。

それでも繰り上げをするというなら、止めることはできません。
しかし私は繰り上げは絶対にオススメはできません。

本人は「大丈夫、大丈夫」なんて言ってしまうものなんですよね。
その気持ちはわかるのですが…。

身内の繰り上げ体験談

この記事を書いたのも、私の母が実際に繰り上げし、障害年金を請求できなくなった…という背景があります。

私の母は、60歳のとき繰り上げ請求をしました。
「いつまで生きるかわからないんだから、早くもらったほうがいい」

当時は私も繰り上げや障害年金の制度を知らず。
それもそうだな、なんて思ったものです。

しかし母は62歳のとき病気にかかってしまいました。
少なくとも障害等級2級にはなるだろう…という状況でした。
今なら1級に該当するかもしれません。

もし障害年金を請求していれば、おそらく支給されたでしょう。
そして最初2級だとしても、病状が重くなった結果、1級の金額を受け取れたかもしれません。

障害年金額は、1級977,125円、2級781,700円。
対して母の老齢基礎年金額は、年間で40万円に満たない程度。
もともと多くはなかったのですが、繰り上げしてさらに少なくなりました。

病気になったあと、出ていくお金も多くなりました。
通院費、薬代、移動代、宅配の弁当、ヘルパー料金、などなど…。

当時、私がもし繰り上げと障害年金の制度を知っていたら、間違いなく繰り上げ請求を止めていたと思います。

年金の繰り上げがオススメできない最大の理由 まとめ

  • 繰り上げすると障害年金を請求できなくなる
  • 繰り上げは取り消し不可
  • 年齢を重ねるほど病気やケガの確率は増える
  • 年齢を重ねるほど支出は大きくなる
  • 障害年金は等級が重くなった時、金額の改定を請求することもできる

繰り上げ請求はデメリットが大きく、とてもオススメできる制度ではありません。
周りに繰り上げ希望の方がいたら、いちど「待った」をかけましょう。

そしてこの制度について、説明してあげてください。
一人でも、繰り上げで後悔する人が減ることを願っています。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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